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一山百文なんだ! [考える]


 (梅雨の中休みのある朝、お天道さんは草むらに燦々と降り注いでいました)

 

 先ごろから復興予算が流用されていると報じられている。東日本大震災からの復興のために使われるべき予算が何の関係もないところで使われているのだ。

 流用できる法律を作り、どう使ったかのチェックもなされないとは優秀な官僚と政治家は、このために新たに国民に別枠で課した税金をどう理解しているのであろう。国民は今後25年間、復興特別所得税が徴収されるのだ。

 ザル法を作った以上に優秀だと思われるのが、抜け道を利用して申請し、流用した地方の公務員である。こういうのを火事場泥棒というのではなかろうか。大震災発生後、略奪などもなく日本人は素晴しいと云われたが・・・。東北の復興なんかどうでもいい、自分のために使おうと考えたのだろう。本来ならば、抜け道があってもこの金はこういう使い方をしてはいけないとブレーキがかかるのは人としての常識であり良識だと思うのだが。

 米国の文化人類学者ベネディクトは、日本人は外からどう見られるかを気にする「恥の文化」だとしている。欧米では神と約束するが日本人は人がどう評価するか、即ち悪いことをしても他人に見られなければいいとする。そこには善悪を自分で判断しないということになる。いや判断できないのか?

 東北の復興なんかどうでもいい・・・思い当たることがある。

「白河以北一山百文」という言葉がある。この白河(しらかわ)は現在の福島県白河市であり、「白河の関」でご存知の方もおられるでしょう。
 東北が明治政府に冷遇されてきた歴史を如実に物語るものだ。

 幕末、会津藩は官軍、薩摩・長州軍と戦わざるを得なくなり、敗れた。『白河以北』というのは、勝利した薩摩・長州勢が、「東北の山は一山百文の値打ちしかない」と蔑視した言葉だった。今もこの言葉が脈々として存在しているのではないだろうか。 しかし、蔑まれようと蔑視されようと、その言葉を胸に東北人は復興へと向かい成し遂げてきた。

 いま未曾有の災害を受け復興に立ち上がっているが、明治のときと同じように東北は再度立ち上がるだろう、冷遇されようと中央の助けを期待せずに。

 話はチョッと脱線するが、大震災で発生した廃棄物の処理を積極的に引き受ける地方自治体は少ない。沖縄の米軍基地の負担軽減のために米軍の基地を引き受けると名乗りを上げる地方自治体も聞かない。自分さえよければあとはどうなろうと知ったことではない。わたしは思うのだ、軽々しく「絆」という言葉を使わないでほしいと。

 宮城県仙台市に「河北新報」という日刊紙を発刊している河北新報社があるが、この社名は「白一山百文」に由来する。明治維新以来、賊軍として軽視されてきた東北の歴史とともに、屈辱を忘れまいとする東北人の反骨の意思が込められている。 

 老いて欲がなくなり幸せな気持ちでいても、このようなニュースを耳にすると不幸せな気分になる。落ち込んだ気分で皆さんの「ひとこと」を拝読することは申し訳ない。そのため「ひとこと」欄は閉じる。

 乱筆乱文御免。本日はこれにて。


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