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鬼平を読む。 [考える]

 強い台風18号は私どもには庭に木々の葉を散らした程度の影響だけて去っていきました。しかし、学校は休校になったようですが、東海道線横須賀線などほとんどの鉄道が止まり通勤の方々は大変だったようです。

 知多半島に上陸し本州を北上し広い範囲に被害をまき散らしながら午後1時現在福島県にあり、これからも宮城県岩手県に被害が出そうです。

 当地では昨夜来時々強い雨と風でしたが(一時雷)、朝には雨も上がり8時過ぎには雲の切れ間からお天道さんが覗き、昼には台風一過素晴らしい青空となりました。心配したこともなく一安心です。


 話は変わりますが、新政府の亀井大臣の発言が物議を醸しているようです。じぶんの云うことがどんな波紋となるかわかっているのかわからないのか、先頃に「KY]という言葉がありましたがその典型みたいです。

 そんなとき、雨に塗り込められ散歩も儘ならず本を読んでいましたら以下の文章に突き当たりました。面白いなと思ったところを抜粋します。池波正太郎著『鬼平犯科帳(八)』「白と黒」文春文庫

   武家方は別としても・・・。
   長谷川平蔵が少年のころまでは、江戸の町家に奉公する女中たちの気質も雇い主のほうも、こ
  ころがまえが、
  「ちがっていたように、おもわれる」 
  のである。
   ーー中略ーー
   主人のほうでは、女中の上下にかかわらず、
  「長い年月を、まじめに奉公してくれたなら、しかるべきところへ嫁入りさせよう。そのときは、
  こちらでじゅうぶんに支度をととのえてやろう」
   という気もちだし、下女のほうでも、「一所懸命に奉公すれば、御主人は、それだけのこと
  をちゃんとして下さる」
   こう考え、将来に希望をもち、陰日向なく奉公するというのが常道であって、これをあやし
  む者とてなかった。
   ところが、ここ三十年ほどの間に、こうした考え方、生き方というものが年ごとにうすれてし
  まい、使うほうも使われるほうも、目先のことばかり追いかけるようになったのは、いったい、
  どうしたことなのであろう・・・。
   他国のことはいざ知らず、将軍ひざもとの大江戸では、とどまることを知らぬ贅沢の風潮が上
  は大名、武家方から、下は町家にいたるまで蔓延し、生活物資が多彩をきわめると共に、これま
  でおもいがけなかった商売や商法がはびこり、目まぐるしく金銀は流通するのだが、これがい
  いずれも商人のふところへ入ってしまう。
   ーー中略ーー
   と、これは、このごろの平蔵がよくもらすことなのだが、つまりは主人のほうでも、下女を長
  年あずかり、いろいろ教えこみ、嫁入りの面倒を見る根気がなくなってしまった。
  金もかかるし、責任も持たねばならぬ。それよりも給金を上げて自由に使い、やめたければや
  めさせ、気に入らねば出ていってもらおうという・・・こうした主家の在り方は必然、下女のほう
  にもつたわり、いやなところなら、さっさとやめよう。そのかわり、もらうべきものはすぐにも
  貰っておこう、という気がまえに変わってくる。
   ーー以下略ーー 

 長々と引用しました。
 この小説が江戸時代の資料に基づき、その時代を書いているのか、この小説が書かれた昭和47年(1972年)」当時の風潮を書いているのかわかりません。が、いつの時代も同じようなことを云っているなと思った次第です。

 このところを読んでいて、一時賞賛されその後経営にとって諸悪の根源と云われた「日本的経営」という言葉を思い浮かべました。

 

 

 


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