足尾銅山鉱毒事件と原発事故と。 [生きる]
きのうは暖かな一日でした。最低気温が10℃近くになると朝起きるのが楽です。そろそろ冬物を洗濯して仕舞い込んでもいいかなと思うのですが、少し気が早いでしょうか。
3月28日の朝日新聞朝刊の天声人語に、足尾銅山鉱毒事件を告発し、民衆の先頭で闘った田中正造氏が云った言葉が書かれていました。
真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし。
明治の人、田中正造氏(1841-1913)は国会議員の一人として、国権に抵抗し、民衆訴訟の代表としても、国家よりも国民の権利が大切なのだということの証としても、ただ一人、時の政権に対し、「鉱山閉山の必要有り」の意見書を提出した人です。
足尾銅山鉱毒事件は(皆さんご存知だと思いますが簡単におさらいです)、国権として「売れる銅」(重要な輸出品)を生み出す鉱山が、その開発により排煙、鉱毒ガス、鉱毒水などの周囲の山村が廃村になるぐらいの鉱毒の害を「垂れ流していても、それは国家としての利益に代えられない」として、国全体で被害の状況、被害者の訴えを国家権力によって隠蔽し、偽装していた事件として有名です。今、電気の供給について東電、国や経済界が全く同じようなことを云っているように思います。
銅山の開発が排煙、鉱毒ガス、鉱毒水などの有害物質を周辺にばら撒き環境に著しい影響をもたらしているとして、1890年代より栃木の政治家であった田中正造氏が中心となり国に問題提起するものの、精錬所は1980年代まで稼働し続け、昨年起きた東日本大震災の影響で渡良瀬川下流から基準値を超える鉛が検出されるなど、現在でも影響が残っているのです。(上記はWikipedia を参照しました)
自然に生まれ、人間の手で変化させられていなければ、それは土に帰ります。動植物は死後土に帰ります。土に帰らないものが人間の思惑から外れたとき、その土地は未来永劫に汚れたままです。
電気がなければ産業が成り立たない、経済成長が望めない・・・一時期の原発をなくそうという言動が段々風前の灯になっているように思います。なし崩しに原発が稼動し続けるように思われます。地震や津波による破壊だけでなく、何らかの事故で放射能がもれるかも知れない、使用済み燃料棒はどう処分されるのか、何十年後の廃炉はどうするのか・・・地球を破壊する原因が山積みしているといえるでしょう。
直ちに原発を停止することはできないにしても、代替エネルギーへの変換はやらなければと思うのですが、その将来への道筋が見えて来ません。
昨年の福島第1原発事故が報じられて以来、原発事故と足尾銅山鉱毒事件のことが二重写しになって頭から離れません。足尾を訪れた人は目にした荒れ果てた山々の風景を忘れることはできないと思います、近年植樹がなされていますが。
放射能汚染関連のニュースがが毎日のように報じられていますが、なにも知らないかのように草花は芽を出し、今年も生きようとしています。
右の写真は、月下美人のシュートです。まだ部屋の中にいますがいつの間にか新しいシュートを伸ばしていました。
<蔦>
<南天> <ヤブラン>
きょうの特別付録;
気が滅入ることばかりですが、心を明るくするようなワンコたちと公園で会いました。
全員がなかなか一緒にカメラ目線になってくれませんでした。 いつまでもいつまでもこのように散歩ができる国であって欲しい。
同じようなことを繰り返しているのですね。。。
人間の愚かさの本質とはどういうことなのかを
最近よく考えてしまいます。
by rtfk (2012-03-30 06:23)
これだけの犬に見つめられると恥ずかしくなりますね。
この平和な世界が続きますように・・・(祈)
by takenoko (2012-03-30 07:53)
おはようございます。
斗夢さんのご意見に100%賛成です。
100万年たたないと自然に帰らないものを人類は作っているんですから。
by majoramu (2012-03-30 08:31)
足尾はそんなに遠くないので何度も行ってますが、
植樹が進んで緑が多くなっています。
反面福島は原発と津波での被害が大きすぎますね。
by 旅爺さん (2012-03-30 08:50)
ツケを未来に残すことになるのですよね・・・
解決できない問題として・・・
by 袋田の住職 (2012-03-30 10:49)
足尾銅山側の人々でも、自然を守りたい人達いたのでしょうね。
東京電力内部からの未来の為の、告発でるべきですね。
by SILENT (2012-03-30 12:46)
◇ rtfk さん
こんにちは。
人間の業(ごう)と云ってしまえば簡単ですが・・・。
◇ takenoko さん
こんにちは。
みんな可愛くて利口な顔をしていますね。
思い出したくないのですが、放射能で避難した地域のペットのこと。
◇ majoramu さん
こんにちは。
これだけ便利な世の中になり、大都会に人々が集中しちゃうと、経済的に貧しくてもいいから幸せな生き方を求めたいと考えることは無理なんでしょうね。
◇ 旅爺さんさん
こんにちは。
わたしは10年くらい前までは仕事の関係で近くまで通っていました。
いつかTVで見たのですが、植樹が盛んに行われているようですね。
◇ 袋田の住職さん
こんにちは。
以前、仕事の関係で付き合いのあった広島の知人は被爆者手帳をもっていました。一生逃れられないんですよね。
◇ SILENT さん
こんにちは。
当時、告発ということはなかったんでしょうね。それでも現地を見ればわかることですから調査し国会に働きかける国会議員がいたんです。よくわからないのはなぜ全国的な反対の世論が起こらなかったのかと。自分が良ければそれでいいんですかね。
事故は顕在化していますから東電内部からの告発はなくても、本当の意味の第三者が働けば本当のことがわかると思います。国会議員の中にも田中正造のような人がいると思いたいですし、メディアが国民のための報道をしてくれるのか気になるところです。
by 斗夢 (2012-03-30 15:32)
最初に どうして原発なぞ作ったのか
当時の有権者達は 何を考えていたのでしょうね
たぶん 高度成長期で「ガンガン行こう~」って
そう思っていたのでしょうが・・・・・
by chunta (2012-03-30 17:19)
今晩は。
ふろく、ワンちゃん沢山で楽しませていただきました。
by 夏炉冬扇 (2012-03-30 18:21)
人間は同じような過ちを何故繰り返すんでしょうか、
少し足踏みをして過去を振り返ることも大切なのではないでしょうかね。
by 美美 (2012-03-30 19:12)
◇ chunta さん
おはようございます。
経済成長、国力増強に必要だと考える人が多かったんでしょうね。
最初から危険を訴えていた人たちもいたようですから。
こういう時の世論はどうやってつくられるのか、大東亜戦争の頃のことが気になります。
◇ 夏炉冬扇さん
おはようございます。
可愛いですよね^^。
いつも一緒に散歩しているとのことで、じゃれ合うこともせず歩いていましたよ。
◇ 美美さん
おはようございます。
そうですね、振り返って歴史に学ぶことが大切だと思います。
人間というものはそんなに利口ではないなとも思います。あるがままで生きる努力をせず、経済的に豊かなことを求め、自分の頭で考えることもしないようです。
by 斗夢 (2012-03-31 04:25)
原発は事故が起きたら、その被害の大きさは計り知れないですね。
それが日本中にあるなんて。
後戻りする事も、一歩進むことになるかなと思います。
by a-silk (2012-03-31 09:07)
「国家としての利益に代えられない」かどうか、判断するのは国民で、そのためには、各種の情報を国民が理解できる形で出してほしいもんです。
でも、国債残高や周辺国の台頭を考えると、私は不本意だけど今の日本に選択肢はないんじゃないかって思っています。
by hawaiian (2012-03-31 10:26)
去年震災直後,本吉でも鉱山跡からのヒ素の流出が問題になりました。震災の影響って地味にいろんなとこで起こってるんですよね。
あまりその後が報道されないけど。
by mau (2012-03-31 11:48)
◇ a-silk さん
こんにちは。
東日本大震災より前にも放射能漏れとか冷却水漏れとか原発事故が多くの発電所で起こっていました。わたしなどもそれを深刻には考えなかった。自分のこととして考えていなかったんですね。
◇ hawaiiann さん
こんにちは。
最近メディアはなにをすべきかということが気になっています。政官財界の記者発表だけを報じているのではないかとうがった見方をしています。
国敗れて山河ありと云いますが、国敗れて山河も荒れにならないようにしたいですね。
◇ mau さん
こんにちは。
ひとつの鉱山の鉱毒が、山を枯らし渡良瀬川水系を汚し、しかも100年経っても終わってはいないんです。
放射能汚染には暗澹たる思いです。
by 斗夢 (2012-03-31 13:23)
効率よく安上がりで、クリーンなと宣伝し、政府はこどものころから原発見学などさせて安全神話を振りまいた。電力会社の宣伝を見て、何となく違和感は覚えながらも、ま、平和利用だからと大目に見ていた自分。その場にいれば、きっと反対運動をしていたと思うけれど、離れていれば何となく関係ないような気になっていた。よく勉強すれば、その電気を自分たちは享受していた。原発の現地ではその時々に、放射能漏れにつながる事故も起きていた。今は、もっともっと身につまされなければいけないのだと思っている。今のほうが原発に反対の意見が原発事故のころより、多くなっている。それを無理に再稼働させようというのは、全く民意をないがしろにしたものだろう。
私たちは原発を再生可能エネルギーに変えよとドイツのような選択を国に迫り続けなければいけないのだと思う。
by さきしなのてるりん (2012-04-01 00:37)
◇ さきしなのてるりんさん
おはようございます。
その通りですね。
わたしも反省しているのは、自分の身の回りに影響、危険がなければ関心をしめさないことが多いということです。
次回の選挙では、原発についての考え方、電力をどうやって求めるかも選ぶ大きなポイントになると思います。
by 斗夢 (2012-04-01 05:47)
科学至上主義…知恵を優先しすぎると、こういう方向に行ってしまうのでしょうね。…難しい。
最近「神々と男たち」という映画を観ました(レンタルDVDで観れます)。色々な面から、考えさせられる素晴らしい作品でした。
by 扶侶夢 (2012-04-01 12:22)
足尾銅山鉱毒事件と原発事故!
斗夢さんの意見に全く同感です!
by kazenotomo (2012-04-04 00:45)
なるほど。
鉱毒事件における田中正造は
原発事故における山本太郎ですね。
わかります。
by ばしくし (2012-06-30 22:46)